04000 ・ 化学療法・放射線療法の副作用
Last Up Date 2005/06/14
項目 : 悪心・嘔吐、下痢・便秘、口内炎・食道炎、しゃっくり( 吃逆 )
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悪心・嘔吐
- 悪心・嘔吐の原因
- 抗癌剤そのものが引き起こす場合と,
抗癌剤によって消化管の粘膜が障害されることにより生じる場合とがあります。
- 悪心・嘔吐の起きる時期
- 抗癌剤自体が引き起こす悪心・嘔吐には,
- 投与中 - 24 時間以内に生じるもの
- 投与後数日続くもの
- 数日後に生じるもの とがあります。
- 強い悪心・嘔吐を引き起こすので有名な薬剤にはシスプラチン ( CDDP、ランダ ) などがあります。
- 比較的悪心・嘔吐が有名な抗癌剤 ( ただし投与量にもよる )
- サイクロフォスファマイド ( CPA、CY,エンドキサン,500mg/m2 以上の使用時 )、イフォマイド ( IFO ),
- サイトシン・アラビノサイド ( シタラビン,Ara-C,キロサイド,100mg/m2 以上の使用時 ),メソトレキセート ( MTX,1g/body 以上の使用時 )、
- ダウノルビシン ( DNR,ダウノマイシン ),アドリアマイシン ( ドキソルビシン,ADR,DOX,アドリアシン ),イダルビシン ( IDR、イダマイシン ),
- シスプラチン ( CDDP,ランダ ),カルボプラチン ( CBDCA,パラプラチン ),
- イリノテカン ( CPT-11,トポテシン )
- 悪心・嘔吐に対する対応
- 現在では抗癌剤自体により投与早期から出現する悪心・嘔吐は制吐剤でかなり抑制できます。ゲロゲロ吐いてる人はほとんどいません。もちろん軽いむかつきや、食欲の低下などをみとめる方はおいでですが,ふだんと全く変わらず食事をしている方もたくさんいます。
- 5-HT3 受容体拮抗剤により非常に悪心・嘔吐が少なくなりました。どこの施設でも必ず使用されていると思います。内服も点滴投与もほぼ同様の効果を示しますので外来でも盛んに使用されています。
- グラニセトロン ( カイトリル )、アゼセトロン ( セロトーン )、オンダンセトロン ( ゾフラン )、ラモセトロン ( ナゼア )、トロピセトロン ( ナボバン ) など
- そうはいっても 5-HT 受容体拮抗剤は万能ではありません。5-HT 受容体拮抗剤に抵抗性の悪心に対しては,
明確な放電膣の痛み
- 胃や腸の粘膜の障害による悪心・嘔吐
- 胃炎・胃潰瘍、腸炎の方が外来を受診する動機は悪心や嘔吐であることが多いでしょう? 同じように抗癌剤により消化管の粘膜障害が生じれば,悪心や嘔吐がおこります。これらは骨髄抑制が強く現れる頃 ( つまり熱が出始める頃 ) に時期を同じくして生じることが多いようです。また菌血症・敗血症のときに消化器症状が前面に出てくることがあることは有名な話です。
胃・十二指腸の障害を最低限に抑えるために,抗潰瘍剤を予防的に投与されることが多いと思います。抗癌剤以外にも発熱時の解熱処置に使用される解熱鎮痛剤 ( NSAID、エヌエスエイド と呼びます ) や,ステロイドなどの使用により,胃・十二指腸の粘膜障害が生じやすくなります。
抗潰瘍剤として プロトンポンプインヒビター ( PPI,タケプロン,オメプラール,パリエットなど ),H2-ブロッカー ( ガスター、ザンタックなど ) やサクラルファート ( アルサルミン ) などが,入院時より処方されることが多いと思います。プロトンポンプインヒビターやH2-ブロッカーの使用については議論の多いところなのですが .....
- 脳への放射線照射による悪心・嘔吐
- 脳に放射線照射を受けると脳みそがむくみます。脳みそは固い頭蓋骨に囲まれていますから,脳みそがむくんでくると頭蓋骨の中の圧 ( 頭蓋内圧 ) が高くなります。この頭蓋内圧の上昇によって悪心・嘔吐が生じます。脳みそがむくんでもひどく傷んでしまうわけではないので御心配なく。
むくんだ脳みそによる頭蓋内圧亢進による悪心・嘔吐では,脳みそのむくみを少なくする,むくみを早く取ることが治療の中心となります。このむくみを予防したり早く取るためにグリセオールの点滴がおこなわれたり、ステロイド ( デカドロン ) などが投与されます。5-HT3 受容体拮抗剤が効果を示すこともあります。項目 : 悪心・嘔吐、下痢・便秘、口内炎・食道炎、しゃっくり( 吃逆 )
便秘・下痢
"外傷性障害"
- 便秘・下痢の原因
- 抗癌剤により消化管の粘膜が障害されて,腸の働きが低下したり,動きが不安定になることで生じる場合と,後に述べる神経障害により生じる場合とがあります。
CPT-11 は下痢をはじめとする消化器症状が強く出やすいことで有名な薬です。
- 便秘・下痢への対応
- 便秘により便が固くなると,排便時に出血を起こしやすくなります。このため酸化マグネシウム ( カマと呼ばれる ) を内服し便をやや柔らかめにコントロールしている施設が多いと思います。
抗生物質の大量使用により,腸内にいる抗生物質に感受性の細菌だけが死んでしまい,細菌どうしのバランスが崩れ,抗生物質が効きにくいばい菌ばかり ( 一番困るのが緑膿菌です ) が異常に増殖してしまうことがあります。また抗生物質で死なないクロストリジウム・ディフィシール と言う細菌で生じる偽膜性腸炎 を起こしたりすることがあります。このために、ビフィズス菌の親戚筋の細菌を内服させる施設もあります ( ビオフェルミン、エンテロノンR など )
- 腸内の細菌・真菌 ( カビのことを医者は真菌と言います ) はお互いに栄養を取り合いながらバランスを保っています。ここに外から内服や点滴で抗生物質が入ってくると,抗生物質に感受性のある細菌・真菌だけがどんどん死んで生きます。すると抗生物質に感受性のない細菌・真菌は栄養を取り合うライバルがいなくなるためお腹の中でドンドン増えていきます。このような細菌・真菌が消化管粘膜のあれたところから血液中に入り込んで菌血症・敗血症・肺炎などを起こしたり,偽膜性腸炎を起こしたりします。抗生物質の効きにくい細菌・真菌が相手ですから治療は非常に難儀をします。
- どんなに大量の抗生物質を投与したり内服してもお腹の中の細菌・真菌を完全に 0 にすることは不可能です。このことはこれまでの骨髄移植で実証されたことです。このため抗生物質抵抗性の細菌・真菌だけを残すことになりかねないので、現在では化学療法・移植含めてお腹の中の細菌・真菌を殺すための抗生物質投与は行われなくなりつつあります。
- 変わりに特定の細菌 ( グラム陰性桿菌,特に緑膿菌 ) を殺すことを目的とした抗生物質投与を行っている施設もありますが ( ニューキノロン系と呼ばれる薬でシプロキサンなど )、やはり耐性菌の出現が問題になっています。
-
- 腸管の動きを安定化させるため、トリメプチン ( セレキノン )、モサプリド ( ガスモチン )、シサプリド ( アセナリン、リサモール ) などを内服させている施設もあります。
- 軽度の下痢程度であると様子を見るだけの場合が多いと思います。ひとつは下痢により原因となった悪いばい菌や薬・食べ物などを早く体の外に出してしまうことができるからです。また下痢止めを飲むと今度はひどい便秘になって下剤を何度も飲むはめになったり,逆に便秘だからと言ってすぐに下剤を飲むとその後ひどい下痢がおこり,いつまでも続いたりすることがあるからです。便秘も下痢も怖い症状ではありますが,あまり神経質になりすぎるのもかえってマイナスです。
-
- 化学療法中に限らず,現在では積極的に下痢を止めにいくことはあまりおこなわれなくなりました。その理由は上述のように下痢は体を守る反応であることが多いからです。一般の下痢で一番怖いのは脱水です。このためひどい下痢のときは水分の補充 ( 経口のこともあれば点滴のこともあります ) が大切です。
- ポカリスゥエットなどのイオン飲料は下痢のときには少し濃すぎると思いますから,水で薄めて飲むと良いと思います。
- 同種造血幹細胞移植後の急性 GVHD による下痢はまた少し違いますので,必ずしも上述通りと言うわけにはいきません。
- 腸管の動きを安定化させるため、トリメプチン ( セレキノン )、モサプリド ( ガスモチン )、シサプリド ( アセナリン、リサモール ) などを内服させている施設もあります。
- 便の性状は色々な情報を教えてくれます。色とか形とか自分の便をよくみましょう。そして「あれっ?」と思ったら主治医と相談しましょう。
- 排便はウォシュレットのあるトイレでしましょう。肛門近傍からばい菌が入ると菌血症・敗血症を起こしやすいため,お尻を紙で拭いて傷つけるよりは,水で洗った方がはるかによいのです。
- 下痢便はアルカリ性です。このため頻回に起こると肛門周囲の皮膚・粘膜を傷めます。また何度も紙でお尻を拭いたら出血することはよく経験されることでしょう。こんな時にサニーナ ( 花王、いろんなタイプがあるが、スプレータイプが使いやすいようです ) などで薄い被膜を作ると便も直接皮膚につきませんし紙の滑りもよくなります。
項目 : 悪心・嘔吐、下痢・便秘、口内炎・食道炎、しゃっくり( 吃逆 )
口内炎・食道炎
頭蓋底の痛み
口内炎・食道炎の原因
- 抗癌剤や、頸部から胸部に対する放射線照射による粘膜障害により生じます。5-FU、MTX、Ara-C、CPA 大量、Thiotepa などは口内炎が起こりやすいので有名な抗がん剤です。
口内炎・食道炎の予防
- 口内炎は予防のうがいによりいくぶん軽減できます。各施設により様々なうがいが調整されています。
- アロプリノール ( ザイロリック )、やカモスタット ( フオイパン ) などに他の薬剤を加えてうがい薬を作っている施設が多いと思います。
口内炎・食道炎による疼痛対策 - 1
それでも口内炎が生じてしまい痛みが強いときには、痛み止めの入った薬剤を口に含んだり、局所麻酔剤を口に含んだりします。
- キシロカインなどの局所麻酔剤は苦くて、食べ物の味もよくわからなくなるため,うちの施設では大変評判が悪くやめてしまいました。
- 以前はアスピリンと言う鎮痛剤の入ったうがいを行っていましたが、水に溶けにくいためうまく使用できない方も多かった。最近はポンタールシロップを水に溶いてうがいに使用しています。アスピリンより効果があるみたいです。
口内炎・食道炎による疼痛対策 - 2
それでも痛みがひどい場合はモルヒネが使用されます。口内炎・食道炎で食事がとれないときみなさんも麻薬としてモルヒネを御存知だと思いますが、モルヒネは正しく使用すれば、それによる薬物依存が生じることは決してありませんし、使用することにより寿命が短くなることも決してありません。これは口内炎での使用に限らず、「がん」による痛みでモルヒネを使用する全ての場合に当てはまります。
一般の痛み止めでは、あるところまで量を増やすと、それ以上はどんなに痛み止めの量を増やしても痛み止めの効果が強くならず、副作用だけが目立ってしまいます。ところがモルヒネは量を増やせば、増やしただけ痛みを止める効果が上がります。もちろん同じ量でもひとそれぞれ効き具合は異なりますが、よく効くヒトには少なく、そうでないヒトにはたっぷり投与すればよいだけです。量が多いから薬物依存が生じるなどと言うことはありません。使用する以上は必要かつ充分量を使用してもらいましょう。
モルヒネ使用時に頻繁に起こる副作用としては、便秘、悪心、眠気 ( ボーッとする ) などがありますが、充分に対処可能です。主治医が「モルヒネを使いましょう」といっても、何もひるむことはありません。つまらない誤解で、無駄に痛みを我慢するのはやめましょう。
モルヒネを長期間内服していた人が急にやめると,たとえ痛みがなくとも非常に具合の悪いことになります。モルヒネが入ってくるのを前提に体の方が体調をそろえていますから,急にやめると調子が狂ってしまうわけです。ですから決して自己判断で中止してはいけません。必ず主治医と相談してやめましょう。
口内炎・食道炎の痛みのため食事が取れないときには、中心静脈カテーテルより高カロリー輸液を行います。
- 調子の悪いときには何も栄養のことばかり考えて食事をする必要はないでしょう。こんな時の食事の目的は、口の楽しみと腸を少しは使ってやり、腸粘膜の委縮を防ぐ、と言う2点です。栄養は点滴で補えばよいと思います。
- アイスクリーム口の痛みも取れるし、カロリーも取れるし ( 目的ではないけど )、気分も良くなるので評判がよいです。
- 食事に限りませんが,がん化学療法を受けているにもかかわらず,一般の健康人に良いと言われている生活習慣を無理に守ろうとする方が少なくありません。特に患者さん自身よりも家族の方にその傾向が強く,患者さんにできるだけこれまで通りの生活をするようにがんばれ,がんばれと声をかけているのを耳にします。がん化学療法をしている人に健常人同じ生活スタイルを維持させようとすることは,はっきり言って「百害あって一利なし」です。特別な状況下でベストな方法は必ずしも日常生活と同じ方法ではありません。
お口の中のお手入れ
人の口の中はものすごく汚くて、大量のばい菌の巣です。このため口の粘膜が荒れるとばい菌がどんどん血液の中に入ってきて、菌血症・敗血症、肺炎などを起こします。口腔ケァは非常に大切なことです。
ブラッシングは柔らかい毛のもの ( 豚毛など ) で、優しく丁寧に行いましょう。決してゴシゴシやってはいけません。
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しゃっくり ( 吃逆 )
しゃっくりとは何だ ... ? またしゃっくりの原因は何だ?
しゃっくりの本態はなんなんでしょう? しゃっくりは、横隔膜 ( 焼き肉屋で 「さがり」とか「はらみ」 と言われるやつ ) や肋間筋 ( = 肋骨と肋骨の間の筋肉、いわゆる骨付きカルビ ) が痙攣を起こすことにより生じる症状です。ですから、横隔膜や肋間筋自体に原因があっても起こりますし、横隔膜の運動を調節している神経に原因があっても起こります。「今日の治療指針」と言う本を見ると、多くは胃が過剰に引き伸ばされたり ( 過伸展 )、アルコールの摂取や心因性 ( ヒステリー ) に生じたりすると書かれています。
上述の原因以外としては、延髄の呼吸・嘔吐中枢の近傍にしゃっくりに関連した領域があるらしく、この近傍の障害 ( クモ膜下出血、脳出血、脳炎、髄膜炎、腫瘍など ) でもしゃっくりが起こるようです。さらに糖尿病性昏睡や尿毒症などの代謝性疾患と呼ばれる病態でもみられるようです。
横隔膜の動きを調整する神経の走行経路上に、リンパ節腫脹や腫瘍があれば、これらが神経を刺激してしゃっくりが起こることがあります。もちろん横隔膜自体や横隔膜に接している臓器 ( 食道、胃、肝臓、脾臓などの炎症、腫瘍など ) の疾患がしゃっくりを引き起こすこともあります。
ビンクリスチンやパクリタキセル等の神経系に毒性を示す抗癌剤を使用した際、抗癌剤による神経障害の一症状としてしゃっくりが出現することがあります。はっきりとしたことは言えませんが,ステロイドのひとつであるデカドロン使用時もしゃっくりが多い印象を持っています。また抗癌剤により食道や胃・腸が障害されて荒れると、しゃっくりが出現することがあります。
しゃくりが止まらないとき ... しゃっくり対策
子供の頃しゃくりが続けて 100 回でると死んでしまうと言って脅かされたことがありましたが、そんなことは一切ありません。しかし、非常に疲れて消耗することは確かです。しゃっくり対策を少しのべます。
1・物理的な刺激で止める
2・みなさんの経験則で止める
3・薬物療法でとめる
4・秘孔出止める、東洋医学の知恵 「つぼ = 経穴」
1・物理的な処置でしゃっくりを止めてみよう!!
- 冷水を飲んでみる。
- 息をこらえてみる。
- 吐き気がするくらい舌ベラの奥を刺激してみる。( ゲボッてなるでしょう? )
- 眼球を圧迫してみる。 ( ちょっと危険です )
- 胃の中にチューブ ( マーゲン・チューブ ってやつです ) を入れて、胃の内容物を吸い出す ( 胃の過伸展をとる目的 )。
- 既に胃にチューブが入っていたり、お腹の中にチューブが入っているときには、これらが刺激になってしゃっくりが起こっているかもしれないので、抜いたり位置を変えたりしてみる。
- cf 1 - 4 は横隔膜の動きを調節している迷走神経と呼ばれる神経をちょいとばかり刺激してなおしてやろうと言うもくろみです。
2・皆さんの経験則で止める
leuk-talk や cancer-talk などに投稿されたみなさんが試している効果的な方法を紹介します。
- 水をゆっくり一口づつ飲みながら、声を出して10、9、8・・・と逆に数を数える、という「おまじない」をいまだに実行して、いまだに「有効」を実感しています。
- 熱い紅茶をゆっくり飲む,砂糖湯を飲む,などという方法も,気分の安定効果もあってよく効きます。
- 熱いお茶を飲む,深呼吸をする,気をそらす,不意打ちで背中などをたたいてもらう,など
- 頭を下に深くさげたままの姿勢で、コップの水を飲む ..... この方法は,内科の治療の本に載っていました。
3・薬物療法について少しふれます。
- メトクロプラマイド ( プリンペラン ) 静注
- クロルプロマジン ( コントミン,ウィンタミン ) 点滴静注もしくは内服
- クロナゼパム ( リボトリール,ランドセン ) 内服
- バクロフェン ( リオレサール,ギャバロン ) 内服
- 柿の蔕 ( へた )
- 柿蔕湯 ( していとう )
- 芍薬甘草湯 ( しゃくやくかんぞうとう ) - ツムラ68番
クロルプロマジンを使用すると寝てしまう方が多いのですが、比較的効果が得られることが多い印象があります。少量から始めます。特に点滴で投与するときは少量から始めるようにしています。
クロナゼパムは比較的副作用が軽微です。ただ少量投与から始めないとめまい感がでることがあります。保健適応としてしゃっくりはありませんから、使用時にはてんかんの病名をつけてしまいます。
バクロフェンは中枢性筋弛緩薬に分類されます。個人的にはこれは比較的副作用も少なく,かなり効果的との印象を持っています。
柿の蔕 ( へた ) は、私が医師になって初めてしゃっくりに遭遇して困ったときに最初に教わりました。また患者さんの中には、柿の収穫時に蔕を取り除いて乾燥保存されてる方もいて、私に分けてくださった方がおいででした。かなり劇的に効くことがあるそうです。
一般的には 柿蔕5〜10g ( 10 個位 ) に甘草を1g加えてもよく、100 - 300ml の湯で煎じ、半量ないし 2/3位迄煮詰め、発作時に温めて服用するのだそうです。
実際病棟で煎じていましたが,手間の割には効果が少ないといった印象です。私個人としては最近は試したことがありません ( 自分で煎じる時間がありませんので看護婦さんにお願いするのですが,手間がかかるため評判が悪くなります )。
柿蔕湯 ( していとう ) は 柿蔕 5g + 丁子 1.5g + 生姜4g を 100ml のお湯で煎じて服用するのだそうです。私はしたことがないので何とも言えませんが ...
芍薬甘草湯 ( しゃくやくかんぞうとう ) は、即効性のあること、効果がかなり期待できること、甘くて飲みやすいこと、副作用がほとんど無いこと、安い漢方薬であることなどの理由で、ある先生は第一選択に押していらっしゃいました。ツムラでは 68番です。 1回 5g ( 2包 ) 内服するのが良いようです。
これは私自身も愛用しています。たしかに即効性があります。ただ単独では弱いこともあります。
その他にはフェノバルビタール ( フェノバール、100g/A ) 1A 筋注、ヒドロキシジン ( アタラックス P ( 50mg/A ) 1A 筋注 なども効果があると記載されていました。
しかし正直なところ,頑固なしゃっくりは何をしても止まらず,患者さんは大変な思いをされます。患者さんと相談しながらいろいろ試してきまた中での一番のおすすめは 7 番の 芍薬甘草湯 です。これでだめなときは 4 番のバクロフェンを併用しています。経験則ではこの二つの併用が一番止まるようです ( もちろん無作為比較試験は行っていませんので,エビデンスなんぞは全くありません )。
4・東洋医学による吃逆の治療 .... 吃逆を「つぼ = 経穴」で止める!!
- この方法は私自身は試したことはありません。Leuk-Talk に参加されている 佐治 弓子 さんを通じて、埼玉県在住の薬剤師&鍼灸師である方からうかがった方法と下記の著者から教えていただいた内容です。
<東洋医学マニュアル> (朝日ソノラマ)
池田鍼灸整体院院長 池田研二著
TEL 03−3380−2201- 実際にお験しになる場合は、まず初回は鍼灸師さんに読み解いていただいて施術を受けられるとよいかもしれません。
- 1・しゃっくりを止めるつぼはここだ!! - 天鼎 ( てんてい ) -
- 場所;
- 胸鎖乳突筋(耳の後から胸骨部に斜めに走っている筋肉首を回すと張る太い筋肉です)のちょうど中間にあります。この場所は、横隔神経が、第4頚髄から出て腕神経叢から分離する部分です。もう少し簡単に言いますと、のどぼとけの外側で胸鎖乳突筋と交わる部分から1センチほど下がった場所です。
- 方法;
- 基本的には、経穴に鍼をうつそうですが、指先などで刺激しても良いかもしれません。
2・しゃっくりを止めるつぼはここだ!! - 気舎 ( きしゃ ) -
- 場所;
- 鎖骨の上縁を外側から胸骨に向かって滑らせ、胸鎖乳突筋と交わる部分のキワにあるそうです。鎖骨の一番内側の、上側の胸鎖乳突筋の手前の部分です。(首を回して探すと判りやすい)
- 方法;
- 基本的には、経穴に鍼をうつそうですが、指先などで刺激しても良いかもしれません。
3・しゃっくりを止めるつぼはここだ!! -血海 ( けっかい ) -
- 場所;
- 膝の内側、皿から二寸上 ( 親指巾が一寸 )
- 方法;
- 血海を親指でグーツとおす。少々痛いが、がまんして押しているとしゃっくりは止まるそうです。
4・しゃっくりを止めるつぼはここだ!! -その他 -
- 場所;
- 左右両方の手首を互いにジーッと強く握っていても止まるそうです。
背中の胸椎の六番に刺激を加えると止まるそうです。
座位で、肩甲骨の下縁を左右に結んだ高さにあるのが胸椎七番の棘突起 ( 背中の真ん中の飛び出た部分 )、それより一つ上をこぶしで叩くとよいそうです。
項目 : 悪心・嘔吐、下痢・便秘、口内炎・食道炎、しゃっくり( 吃逆 )
04010 ・ 化学療法後の経過と副作用の発現
04020 ・ 骨髄抑制
04030 ・ 消化管の障害
04040 ・ 脱毛
04050 ・ 心臓の障害
04060 ・ 腎臓や膀胱の障害
04070 ・ 肝臓の障害
04080 ・ 神経の障害
04090 ・ 性腺機能障害と不妊症
04100 ・ その他
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